温泉の成分が濃い温泉【高張性温泉】のススメ

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 温泉水に1kg中10g(10g/kg)以上の温泉成分が含まれる場合「高張性温泉」と言う温泉濃度が高い温泉として分類されます。

 例えば日本では有馬温泉などが成分が濃い温泉として有名です。
 温泉水1kgあたりの溶存物質総量が10g/kg以上ある温泉、又は凝固点(氷点)が-0.58℃未満の温泉を「高張性温泉」として分類され、高張泉は浸透圧が大きく、温泉成分が体内(細胞)に入り込む割合が多いと考えられます。
 ちなみに人間など地球上の生命体を構成する細胞液の浸透圧は約9g/kgなので、生理食塩水や目薬の浸透圧は8.8g/kg(0.9%)に設定されています。
 この割合よりも高いと、すなわち浸透圧が大きいので、皮膚を通して温泉成分が体内に入り込んでくるのです。



 その逆で、低張性温泉(溶存物質総量8g/kg未満)の温泉に入浴した場合は、体内からお湯の方に移動します。その為、水道水を沸かして入浴する家庭のお風呂でも、体内の水分が失われやすいので「水分を取ろう」と言う話になるのです。なお、日本の多くの温泉はこの低張性温泉です。

 等張性温泉(溶存物質総量8g/kg以上~10g/kg未満)は、体内とお湯の浸透圧がほぼ同じな為、水分の移動はほとんどありません。等張性は英語で言うとアイソトニックと言う言葉になります。

 高張性温泉(溶存物質総量が10g/kg以上)だと、お湯から体内に温泉成分が侵入してくるという事になりますので、そんな温泉に入れば、体にいい事がありそうな気がします。
 実際に、そのような温泉には温泉適応症が色々と追加されています。
 しかし、温浴による効果においては、成分の薄い濃いは関係ありませんので、温泉成分が薄い低張性温泉でも「一般適応症」と言う効果が期待できるのです。
 ちなみに海水の成分は約35g/kgですので、海水浴も実は健康に良いのです。もちろん「適度」と言うものが必要ですが・・。

 高張性温泉は古代の湯(古代湯)、化石海水などとも呼ばれる、火山がほとんど関与していない、古代の海水などが何千年と言う時間を経て濃縮された温泉が多い傾向にあり、特徴としては塩分濃度が濃い事です。 
 地下において随時新しい水が供給されている火山性の温泉ではない場合が多いと考えられ、地下深くに閉じ込められた地下水であることから、新たに水が追加される事はほとんど無く、石油と同じように限りがあります。
 その為、採掘し汲み上げ続けると、将来枯渇する恐れもあるため、成分が濃い温泉は「今だけ」入れると言う大変貴重な温泉であるとも言えます。

 塩分濃度が濃い温泉の特徴としては、塩分の殺菌効果により、アトピーなどの皮膚炎などに効果があると考えられます。
 また、塩分が肌に付着して、汗の蒸発を防ぐため、保温効果がよく、冬でも湯冷めしにくい為、神経痛、慢性リューマチ、冷え症などの症状にも効果があります。
 ただし、温かいお湯に入浴し、皮膚の毛穴が開いているところに、浸透圧も高いので、体内に塩分などの温泉成分がとても浸透しやすいのです。

 ちなみに、体に一番効果がある温泉利用方法は、入浴ではなく、温泉を飲んだり、湯気を吸ったり、温泉成分を直接体内に取り入れる方法です。
 ただ、ほとんどの温泉は衛生面から飲んではいけないと言う事になっていますが、中には飲むことができる温泉もあります。

 高張性温泉の温泉はこちら

 ※トップ写真は、箱根湯本温泉「湯さか荘」さんより

コメント(2件)

  • 匿名 より:

    そもそも人間の皮膚は、水分を通しません。したがって、浸透圧が高いから成分が体内に取り込まれる・・・・などは、間違いです。浸透圧が高ければ、半透膜を通して水が移動する。

    濃度が高ければ、成分が皮膚に付着する量が多くなり、皮膚に何らかの作用があるのかもしれない。
    高張性、低張性という名称は誤解を生みやすい。変えた方が良い。

  • ほげほげ より:

    浸透圧は、半透膜を挟んで溶質の濃度が薄いほうから、溶質の濃度が濃いほうへ向かって、溶媒分子が移動するときの圧力です。
    水分について記事の説明とは逆ですし、そもそも浸透圧は溶質は半透膜を通過しないという前提で、このような現象が起きますので、温泉成分(溶質)のやり取りは、起こらないことが前提となります。

    温泉の溶質(成分)が皮膚を通して体内に浸透するかと、温泉が高張性であるかという問題はは全く別かと思います。

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